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地域に根ざすPeach航空の成功と生き残りをかけたスカイマークの失態

 2013年3月31日をもちまして、スカイマークが関空路線から撤退するすることとなりました。

 だーれ?Peach航空より高くてもスカイマークの方が良いって言ってた人は? やはり日々ニュースチェックをして、経済感覚を磨かないといけませんねぇ。良い悪いの前にもう関空から飛ばない。正直減便は沖縄への観光客減につながるので残念だが赤字で飛び続けることは出来ないので仕方がない。

Peach航空とスカイマークの搭乗率の差

 下記記事によると飛行機への搭乗率は7割程度が採算分岐点なのだが、スカイマークは月によっては4割を切る搭乗率しかなかったとか。これは厳しい。さらには「再開の見込みはほぼない」ということだ。完全否定ではないがほぼ永久に無いのは間違いないだろう。
 スカイマーク関空撤退の記事

 しかし、この記事を読んでただスカイマークが撤退したとだけを読み取ってはいけない。その奥に隠れるていることは、Peachの便数が増えていることだ。Peachは攻めます攻めれます!!

 千歳と関空を結ぶ飛行機便数は
 Peach航空:5往復
 スカイマーク:2往復

 那覇と関空を結ぶ飛行機便数は
 Peach航空:3往復
 スカイマーク:2往復

 先に動き出した千歳関空便は倍以上の便を出すまでに成長。那覇関空便もスカイマークの便数を追い抜くことに成功していたのだ。

 ちなみに、LCC全般が順調というわけではない、記事によれば、エアアジアは昨年10月から4カ月連続で搭乗率が6割を下回り、ジェットスターは昨年12月以降、搭乗率を公表していないという。公表をしないということは芳しくないということだろう。
 LCCの課題の記事

なぜ、Peach航空だけが好調なのか?

 前出の記事にも書いてはあるが、最終便の到着時刻が厳しくなると、エアアジア、ジェットスターは欠航せざるを得ないが、Peachはその点をクリアーできている部分が大きいので有利だろう。ただし、終電後に関西国際空港についた場合は、バタバタ感が尋常ではないことは付け加えておきます。
 ドタバタ劇の模様は「LCC Peachに6回乗ったレビュー、もうすぐ沖縄キャンプ」をお読み下さい。

 そして、経営効率を上げるための努力を徹底して行なっている点も大きいだろう。以前にも書いたかもしれないが、関空の第二ターミナルでは、トーイングトラクター(飛行機をバックさせるための車)が無く、飛行機自身が180度回転して出発する。これにより、トーイングトラクターの維持費も必要なく、運転手も雇わなくても良いのだ。トーイングトラクターのタイヤのお値段とか考えたくもないですね。

 あのみすぼらしいバーコードでチェックンをシステムも内製で作っているそうだし、PCなども譲り受けているらしい。この辺りが、安さを維持しつづける秘訣のようですが、世の中では、「安かろう危なかろう」という話になってしまっているのが残念なところだ。

 そもそも、安くて落ちやすいのなら、国が許可するはずが無いだろうに。

Peach航空の経済効果

 Peachは着実に地域経済に影響を与えている。

 こちらの記事「言葉は無理でも指さしシートで 南海が作成、ピーチ効果で関空利用アジア客増加に」では、南海電鉄の利用客数増のデータが出ている。

南海電鉄空港線(関西空港~泉佐野)の輸送人員も平成24年12月期(4~12月)で前年同期比15%増の約620万人を記録した。

 計算すると、8ヵ月で80万人ぐらい。月に10万人、一日には3300人程度利用者が増えたということです。泉佐野から関西空港は470円なので、単純計算すると3億7600万円の増収になってます。(実際には特急料金や難波からの利用者などもあり、もっと複雑でしょう。)

 そして、コチラの記事「関空、深夜・早朝のアクセス便利に バス・高速船運行延長 」では、ネックであった終電後の終バスの時間延長のお知らせがある。

最近は関空のターミナルビルのベンチで夜を明かす旅客が増加。新関空会社によると、1月は1日平均80人と前年同月の5倍以上だった。新関空会社は今回のアクセス改善により、やむを得ず宿泊する人を減らせるとみている。

 80人なら、バス1台で大半の人を運ぶことが出来る。実質、難波と梅田の2路線で延長するのだから、ほとんどの空港宿泊者を大阪市内へと運べるのだ。ちなみに梅田への終バスは関空発1時15分、難波への終バスは関空発11時45分となっている。(2013.4.1現在)

 さらに、こちらの記事「ピーチ航空が利用する関西国際空港・第2ターミナル。利用者数好調につき、第2ターミナル行きのバスが増便されます」では、微妙な変化に気づいてしまったようで

この第1ターミナル=第2ターミナルのバスの運行本数は、元々昼間は6分間隔だったんですよね。それが、先日バスの時刻表を改めてチェックしてみると5分置きに変更となっていました。 

 これは、普通気が付かないですよね、凄い調査能力です。ちなみに、第2ターミナルまでのバスは南海バスの貸切です。

地域に根ざすからこそのリード

 さて、ここまでで見ていただいたように、Peach航空は関空、南海と非常に強い結びつくを持っている。更には、難波から阪神、近鉄と、淀屋橋からは京阪とタッグを汲んで、神戸へ奈良へ京都へとPeach後の旅を安い値段で提供し相互の利益を上げれるように務めている。これが、ホントのWinWinだ。

 最近では、おみやげ屋さんの商品も充実して、赤福も置かれるようになった。これは嬉しい。

 そして、フライト後の「はんま、おおきに」の一言はほっこりさせてくれる。「おおきに」って温かい言葉使いやなぁと思います。恐らく探せばもっともっと地域に根ざすための努力をしていることだろう。

 気になるのは、沖縄を第二拠点にしたことだろう。アジアのハブという位置づけもあるかもしれないが、もともと、大阪と沖縄は近い関係にもある。大阪大正区のリトル沖縄を巣立った人たちが大阪にはたくさん住んでいるというのも好材料。

 さらにさらに、超ドル箱路線をやる気ではないかと、ワクワクする。伝説の那覇千歳直行便。
 
 最近では、企業のグローバル化が進み、なかなか地域の人に役立つローカルビジネスに目が届かないことも気になるが、こうやって、大阪に住んでいる人達を、大阪に来る人達を、自分たちのビジネス以外でも応援してくれる姿が、Peachの本当の原動力なのだと僕は確信している。

ANA一人勝ちの布石

 Peach航空の関空での躍進は、ANA以外の航空会社には、間違いなく痛い話だろう。しかし、ANAだけは笑いが止まらないはずだ。それは、ANAが格安ブランドとしてPeachを作ったからだ。

 スカイマークの関空撤退で、スカイマークの利用者は、どこかの航空会社に頼ることになる。彼らがちょうど中間層に居ることもあり、PeachにもANAにも振れる可能性がある。もちろん、ANAを選ぶ人はJALという選択肢もある。

 単純計算になってしまうが、スカイマーク利用者が100人いるとしよう、ANAとJALしかなければ、50人,50人と別れて利用すると考えるだろう。ここにPeachが入ることによって、各社33人が利用することになる、つまり、ANAグループは66人を確保できJALよりも33人分の増収となる。JALは50人の目論見が、17人分少なくなってしまうのだ。

 ANAは、したたかに大人のビジネスをひっそりとやるのだと感心してしまった。

 おわり

コメント (2)
  1. ハナさん より:

    ピーチは経営状況を明らかにしていませんが、国交省の内部資料で見る限り、客単価を下げて搭乗率を上げたているだけの話。つまり、ピーチは売り上げが上がっておらず、赤字を垂れ流している状況です。搭乗率100%でも赤字状態なんですから話になりません。ピーチが成功しているというのは虚構なんだと思います。今後価格を上げた時に、値段にうるさい関西人が引き続きピーチに乗るかどうか、注目ですね。おそらく、(比較的単価を高めに保ち健全経営を目指した)エアアジアジャパンのように搭乗率は目に見えて下がることでしょう。日本のLCCは今後ますます厳しいと感じます。
    スカイマークはピーチの客単価を上げさせないために、関空に就航していたわけで、当初の目的を達して撤退した模様です。ニュースはきちんと裏読みする必要がありますね。

  2. しんちゃん より:

    ハナさん、今となっては虚しいコメントですね。
    国交省の内部資料を見れるような方でも、経済のことがわかってないとこうなるんだなぁと良い勉強させていただきました。
    情報は持っていても、つなぎ合わせる力が大切ですな。
    「スカイマークはピーチの客単価を上げさせないために、関空に就航していたわけで、当初の目的を達して撤退した模様です。」というコメントも何度も読み返して、今の現状から考察し直すことをお勧めいたします。

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